地域店に後継者が来ても続かないのは「安月給で使えるていの良いバイト扱い」だから

数年前から多くの中小企業が後継者不足で廃業の危機にある、と云われています。政府も色々対策を打っているようですが、思うような効果には至っていないようです。

 

私たちも息子さんなどが後継者として戻ってきた町の電器屋さんにお手伝いとして関わることがあります。また以前、某家電メーカーさんが担当者千人を投入して系列ショップの後継者支援をする、というプレスリリースがありましたが、もう後継者も辞めてしまいアトム電器に来たという電気店さんなどもあり、状況は複雑です。

 

なぜ後継者不足なのか?
なぜ後継者が戻って来ても結局辞めてしまうのか?

 

日々、町の電器屋さんと関わっている立場から、この問題について考えてみました。

 

そもそも他人様なら働かせられないような環境に、息子なら働かせられる?

そもそも論の話です。例えば粗利から人件費を月33万確保出来るお店に、息子(娘)が帰って来たとします。その33万から一部給料を「分けてやって」何年も親の仕事を手伝わせることを、「後を継がせる」と思っている経営者・後継者が結構多いのです。

 

 

これに対して「自分の若い頃は安月給でも働いた」とか「アイツはまだ未熟だから」なんていう反論も多々あります。それはまだ家電品が各家庭に行き渡っていない、インターネットも無い、家電量販店も草創期だった、人口も右肩上がりだった、そういった時代なのでその状況でも売上が増えて、成り立ったのです。

 

また、「給与は確かに低いが、実際は実家住まいの家賃や食費、奨学金の返済なども負担してやっている」という話も多いです。それなら正当な給与を支払い、そこから本人が自分の責任で家賃・食費を払い、奨学金返済をすればいいだけです。

 

それをやっていないのは、正当な給与を計上すると業績が赤字化したり、源泉税が負担になるからではないですか?もっと言えばそれは問題を見ないようにする行為であり、経営者としての甘えなのではないでしょうか?

 

いいですか?

 

殆どの場合、後継者は「結局辞めてしまう」のではなく「辞めざるを得ない状況に追いやられる」が正しい。

 

今まで何十組もの地域電器店経営の親子に関わってきた私の結論です。かの松下幸之助氏は「何代目かは関係ない。事業者は全て初代であるべし。」と電器店の後継者を安易にレールに乗せることをきつく戒める言葉を残しています。半人前ながらも一通りの仕事を覚えたら、後継者は直ちに自分の顧客づくりを進めなければいけませんし、後を継がせる親は新しい顧客が増えることで生じる多少の混乱を受け入れながら見守る覚悟が必要です。それが出来ないのであれば、そもそも自分の人生に子供を巻き込むべきではないのかも知れません。

 

店舗を承継するのは仕組み以上にお客様との関係性ありき。いい格好をせず、覚悟さえあれば出来る方法はいくらでもあります。私たちで良ければいつでも相談に乗れますから、気軽にご相談くださいね。

 

このブログを書いた人

メオマサユキ

(株)アトムチェーン本部 店舗運営部長。「アトムのメオマサさん」で長く公式アメブロ「町の電器屋さんの小さな販促実践委員会」を担当。㈱アトムチェーン本部入社後、経理、法務、 加盟店相談、店舗開発、物流部長を経て、2023年3月より現職。